東日本大震災について

    トイレの衛生悪化深刻

 東日本大震災で津波に襲われた宮城県の石巻、東松島両市と女川町にある避難所のうち約4割で、トイレの汚物処理が十分にできず、衛生状態が悪化していることが31日、石巻赤十字病院などの調査で分かった。
感染症にかかる被災者も増え、少なくとも約50人に下痢、約20人に嘔吐(おうと)の症状が出ている。同病院の石橋悟救急部長は「このままでは感染症が大流行する恐れがある」として、できるだけ早く仮設トイレを増やしたり、全国から被災地に大量のバキュームカーを送りこんだりする必要があるとみている。

避難所4割で問題

石巻赤十字病院のほか、全国の日赤病院や大学病院、医師会の医療スタッフでつくる救護班が調査。学校や公民館など21町で把握できた計272カ所の避難所に巡回診療に行った際、トイレの状態を確認。うち何らかの問題があった避難所は107カ所に上った。
施設にもともとあったトイレでも排水ができず下水があふれたり、新聞紙に用を足し、袋に入れて捨てたりしている所が目立った。水がないため、手を洗わないままの被災者も多い。
石巻市内では2つある下水処理施設のうち、1つが水没してほぼ壊滅状態で、全面復旧の見通しは立っていない。

感染症拡大の恐れ    石巻・東松島・女川

仮設トイレがあってもバキュームカーの数が足りず、汚物があふれている所も。仮設トイレもなく、被災者が囲いだけ設けて新聞紙に用を足し、バケツにためているケースや、地中に穴を掘っている所もあった。
165カ所は「問題なし」とされたが、流すことはできても断水のためプールの水をくんでいたり、食事や寝る場所と同じ場所に簡易トイレがあるなど、実際には十分とは言えない例もある。
胃腸炎のほか、女性を中心にトイレの回数を減らしたためぼうこう炎になる人も増えている。石橋部長は「衛生状態を改善しなければ病気になる人は減らず、いつまでも通常の診療ができない。被災地で最も切実な問題だ」と話している。 

2011.3.31 日本経済新聞 夕刊より転載)